KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

【Book】生涯投資家

村上世彰さんの「生涯投資家」を読了しました。とても面白かったです。投資に興味がある人、仕事で株式に関わっている人、村上世彰って悪い人なんでしょって思っている人にぜひ読んでもらいたい本です。

生涯投資家

生涯投資家

 


ざっくり言うと、本の中では、

  • なぜ投資家として生きているのか?
  • 生い立ち
  • 今までの投資状況と今の日本への提言
  • なぜこの本を書こうと思ったか
  • 投資哲学


上記のようのものが、書かれています。父親も結構な投資家であったことが大きな影響を村上さんに与えており、大学を卒業して官僚になるわけですが、それも父親から「投資をするなら国家を知っておけ」と言われてその道を選んだのでした。

村上さんが深く関わった東京スタイルやフジテレビの話、鉄道会社への投資について詳しく書かれています。阪神電鉄の株を買い進めていた時に、関西の他の私鉄と経営統合すれば梅田での乗り換えも便利になり、相乗効果も上がるなど、便利なことが山ほどある中で、世間からは「阪神タイガース村上タイガースになってしまう」など、およそ的を射ない評価になったという話などは、やっている本人とメディアにはやっぱりずれがあるんだなぁと考えさせられました。

また、強制調査の過程で、当時ほとんど案件に関わっていなかった娘まで調べられ、妊娠していた娘が死産してしまった話も書いてあります。痛々しい話です。

彼女は、調査の対象となった時期である二〇一四年夏頃、株のトレーディングそのものや売買判断に全く関与していなかったことに加え、第一子出産にあたり産休中であったことから仕事全般から離れていた。それにもかかわらず、調査の対象となったばかりか、逮捕されるのではという憶測まで流れることになった。妊娠中で体調が不安定な中、度重なる調査のストレスで彼女は一気に体調を崩し、とうとう死産をしてしまった。

 

村上さんは、2006年に逮捕された前後で、マスコミなどから沢山の取材・報道をされました。なぜこの時に本に書いてあることを語らなかったかという理由も書いてあります。結局、そういう時に話しても間違って解釈され、きちんと受け入れもらえないだろうという気持ちがあったからだと本書では書かれています。

この本ではNPOについても詳しく書かれていて、村上さん本人もNPOを通じて渋谷の清掃業務を行ったり、東日本大震災で炊き出しに参加したりしたことが書かれてあります。本を読んで初めて、「村上さんってこんな人だったのか」と知ることが多いです。

この本は2017年6月に出版されていて、今の世相に沿った話も書かれています。できれば早めに読むといいんじゃないかと思います。