KH Chronicle

1975年生まれ。サッカーのことを多めに書いています。医療と経済にも興味があります。

厚労省が目指している「かかりつけ薬局」

日経電子版で、かかりつけ薬局についての記事がありました。医療というのは、経済規模も大きく、日経新聞にもしょっちゅう取り上げられています。なかでも薬局の存在というのは、それなりにあれこれ考えられています。

厚生労働省は14日、患者が薬や健康についていつでも相談できる「かかりつけ薬局」の制度案をまとめた。24時間体制で患者に対応する、仕切りで区切った相談窓口がある、といった条件をつけた。条件を満たした薬局は都道府県に対し自らがかかりつけ薬局であることを報告し、都道府県はホームページで公表して利用を促す。
24時間対応など条件 厚労省、「かかりつけ薬局」制度案 :日本経済新聞


厚労省の狙いとしては、医療費も増えているし、できるだけ自分で健康を管理してもらえるとお金もかからないし嬉しいな、というところです。ちょっとした風邪なんかで病院に行くと、医療費と薬剤費を健康保険から出さなければいけないため、どんどん国の医療費が大きくなります。

ちょっとした風邪ならドラッグストアに行けば、風邪薬が売っています。病院に行く前に薬局に行ってもらおう、ということです。さらにその薬局で糖尿病や、高血圧に対する指導をやってもらえると、より患者さんは健康になり、理想の「ピンピンコロリ」に近づける人が多くなります。ピンピンコロリが多くなるということは、医療費も増えず、入院費も増えず、薬剤費も増えません。本人にとってもいいことだし、国の医療費にとってもいいことです。

医療に関する職業の人だけが、収入が減って辛い、ということです(苦笑)。でもまあ、医療に関わる人って元々そうなんですよね。仕事が増えるということはそれだけ病気の人が多いということなので素直に喜べない、という複雑な職業なのです。

薬剤師なら、相談料は無料だし、健康保険を使うことが少ない→医療費が下がるという仕組みを作りたいわけです。ただ、かかりつけ薬局ってすんなり成立しない理由があるんです。

かかりつけ薬局が難しい理由


大きな理由が、薬の在庫です。患者さん一人に対して一つの薬局というのがかかりつけ薬局なのですが、例えばその患者さんが都内の大学病院の処方箋を持ってきて、すぐ近くの開業医の処方箋も持ってくるとします。都内の大学病院の処方箋なんて、けっこうレアな薬が多くて薬局に在庫がありません。すると問屋さんに発注するのですが、その患者さんが来なくなると不良在庫になります。

その薬の薬価が高い場合、ひと箱10万円するようなものもあります。その10万円を捨てなければいけない時の悲しさったら(苦笑)。なので、調剤薬局行くと、「全国あらゆる医療機関の処方箋を受け付けます」と書いてありますが、珍しい処方箋(珍しい薬剤)が来ると、薬剤師は戦々恐々としています(笑)。

中には、在庫が豊富で、かなり対応できるお店もありますけどね、少数派です。薬剤師としては、かかりつけ薬局っていい制度だなとは思いますけども、現実問題を考えると改善しなければいけない部分はたくさんありますね。